即日退職ができないのはウソ?退職ができるケースと正しい方法

即日退職」は不可能なものというイメージを持つ言葉です。

  • 実際に即日退職が認められるケースはあるのでしょうか?
  • ある場合、それはどのようなケースで認められるのでしょう。
  • また、即日退職する場合、どのような手続きが必要になるのでしょうか?

この記事を読むことで、以下のことが分かります。

この記事でわかること
  • 自分が勤めている企業で即日退職が認められるかどうか
  • 即日退職する際に必要な手続きや注意点
  • 即日退職をする場合に退職代行の選び方やメリット

ぜひ最後までご一読いただき、即日退職をする方法を知るのにお役立てください。

即日退職が可能な条件と方法(雇用形態別)

何らかの事情で、すぐにでも会社を辞めたい場合、即日退職が可能なのか、またできるのであればその方法について知りたいと思うのは当然です。また、契約社員やパート・アルバイトでは無理と諦めている場合も少なくありません。

しかし、実際には正しい手続きを踏むことで即日退職できる場合があります。ここでは雇用形態別に即日退職が可能となる条件と、即日退職をする方法について紹介します。

即日退職できる条件と方法①(正社員)

正社員で勤めている会社を辞める時には、2週間前に退職意思を伝えることが民法で定められています。つまり、正社員で働いている場合には即日退職は大変難しいといえるでしょう。

しかし、下記の方法なら退職意思を伝えた翌日より出勤する必要がないため、実質的に即日退職が可能です。

  • 退職日まで有給休暇を使う
  • 退職日まで欠勤にする
  • 会社から合意を得る

それぞれ具体的に紹介します。

退職日まで欠勤扱いを希望する

会社へ退職意思を伝えて、会社側が即日退職に合意しなかった場合には、退職日までを欠勤扱いにしたい旨を申し出ましょう。会社の方針や規則で禁止されていない場合には、退職日まで出勤することなく退職することができます。

ただし、ほとんどの場合退職までの賃金が減額されることとなるでしょう。

また、一部の会社では、会社規則により退職までの欠勤を認めていない場合があります。その場合には出社義務が発生することがあるので、会社側の上司や人事部門に確認することが必要です。

退職日までに有給の消化をする

会社の規則により、退職日までの欠勤が認められていなかったとしても、有給休暇が残っていれば消化できます。退職までの有給を使用することで、義務付けられた出勤日も出勤する必要がなくなるでしょう。

有給休暇を使用することは労働基準法第39条にて認められている権利であるため、退職予定期間中であっても問題なく使用できます。

要注意!即日退職で違法になるケース

雇用期間の定めがない労働者の退職は、退職意思を申し伝えることにより可能です。しかし、民法により「解約の申し入れより2週間経過後に雇用が終了となる」旨が記載されています。

つまり、退職意思を伝えたのち、2週間経過しなければ雇用終了とならないとされています。退職を伝え、会社の合意なく即日退職すると違法となる場合があるので、すぐに辞めたい場合でも正確に会社側へ伝えていくことが必要といえるでしょう。
参考:民法627条

即日退職できる条件と方法②(契約社員)

雇用形態が契約社員である場合、正社員と異なり契約期間が定められています。そのため、契約期間終了まで勤める必要があり、基本的には即日退職はできません。

しかし、以下のいずれかの条件に当てはまる場合には、即日退職が可能です。

  • 1年以上働いている(労働基準法137条)
  • やむを得ない事情で退職が必要となった(民法628条)
  • 退職の合意が得られた(民法628条)

ここで言う「やむを得ない事情」は心身の不調や家族の介護などが該当します。

即日退職できる条件と方法③(パート・アルバイト)

パートやアルバイトで働いている場合、その契約期間が決まっているかいないかで即日退職の可否が変わります。契約社員のように契約期間があらかじめ決まっている場合には、即日退職はできないでしょう。

一方で、具体的な期間の定めがない場合には正社員同様、退職意思を伝えてから2週間経過すれば退職が可能です。パートやアルバイトであっても、条件を満たすことで有給休暇が発生するので、残っていれば退職予定期間に使用できます。

また、契約社員同様に、心身の不調、家族の介護など「やむを得ない理由」があれば即日退職が可能な場合もあるため、会社側へ正確に伝えることが必要です。

具体的な「やむを得ない理由」としては、体調不良以外にも家族の病気等で介護が必要な場合や本人の傷病(業務内外問わず)も該当します。ただし、「やむを得ない」かどうかは状況に応じて判断されます。

即日退職する場合の4ステップ

前項では、即日退職ができる場合やその条件についてまとめました。次に、実際に即日退職する場合の手続きや、すべきことを紹介します。

退職手続きを開始するときに参考にご一読ください。

ステップ①辞める2週間前に上司へ退職の意思を伝える

退職を希望する場合、まず最初のステップは「会社へ退職意思を伝える」ことです。伝える相手は、多くの場合直属の上司ですが、会社によっては総務担当者へ伝える必要があることがあります。

直属の上司へ伝えたのち、他に伝える人がいるかどうか確認するとよいでしょう。

退職意思は、退職を希望する日付より2週間、またはそれ以上前に伝えます。即日退職したい場合でも、退職希望日は退職意思を伝える日より2週間経過した日付となると考えるとよいでしょう。

ステップ② 残っている有給がある場合は消化する旨を伝える

自分の勤怠を確認し、有給休暇が残っているかどうかは退職意思を伝える前に必ず確認しておきましょう。有給休暇が残っている場合は、有給休暇を消化してから退職する旨を申し出ると、退職予定期間の出勤が必要なくなります。

ステップ③退職に必要な手続きを進める

退職意思を伝えたのち、しかるべき担当者と退職手続きを進めることとなります。具体的には、退職関連の書類の提出、会社が保管している場合に「雇用保険被保険者証」「年金手帳」の受取、備品の返却などが挙げられます。

会社からのものである備品や制服を返却

業務上貸与されていた、パソコンや携帯電話、制服などは退職する際には速やかに会社へ返却する必要があります。退職日まで有給休暇を消化する場合は、いつまでにどのような方法で会社へ返却するのかを担当者と確認し、遅延のないように返却することが重要です。

会社の情報へアクセスできるパソコンを退職後も保持していると、トラブルにつながる可能性もあります。速やかに返却することが必要です。

退職する際の必要書類を発行してもらう

退職する際には、会社から離職票を出してもらう必要があります。ただし次の勤務先が確定している場合には不要であるため、会社によっては事前に希望しなければ発行しないところもあるでしょう。

離職票の発行に依頼が必要か、受け取り時期はいつごろであるかを担当者と確認することが重要です。また、会社が「雇用保険被保険者証」「年金手帳」を保管している場合は、退職日までに受け取りができるよう、返却依頼をすることが必要です。

ステップ④:手続きが終わり次第、退職が完了

ここまでの手続きがすべて完了すると、「退職手続きが完了した」といえます。
退職意思を伝えてから、最短で2週間で行うこととなるので、あわただしいといえますが、どれも重要な項目ですので、漏れ欠けなく進めていくことが必要です。

2週間を待たずに即日退職が認められるケース

退職する時に、2週間の予告期間を待たなければならないことがあるのはストレスです。

しかし、中にはその期間を待てない緊急事態が生じる場合もあります。そんな時、即日退職が認められるケースがあるのをご存知でしょうか?即日退職が認められるケースについて解説します。

会社と労働者の間で合意がある場合

退職希望を会社に伝え、その際に即日退職することに対して会社が合意すれば、2週間経過せずとも退職できます。退職を希望する事情を伝え、会社と相談することで合意を得られる場合があります。

即日退職を希望する場合には、まず会社と相談することから始めるとよいでしょう。

会社側に明らかな違法行為やパワハラがある

退職を希望する理由が明らかに会社側の非である場合は、即日退職が可能です。
会社側に責任があると認められる事例は、パワハラやセクハラなどの明らかなハラスメント行為や、長時間労働、残業代不支給などが該当します。

仮にこのような場合に即日退職を認めない場合は、会社側が在職強要を行ったとみなされるケースもあります。在職強要も違法行為となるため、毅然とした態度で対応し、即日退職を希望するとよいでしょう。

既に1年以上働いている場合(契約社員)

契約社員は基本的に契約期間満了まで勤めあげる必要があります。しかし、労働基準法により、労働を開始した初日から1年経過していれば、申し入れにより退職が可能と記載があります。

つまり、契約社員であっても、業務開始より1年以上経過していれば、労働者側からの申し出で即日退職が可能であるといえるでしょう。
参考:労働基準法137条

やむを得ない理由があれば期間を待たず退職できる

継続して勤務ができない「やむを得ない理由」があれば、退職意思を伝えたのち、2週間経過する前に退職が可能です。
「やむを得ない理由」にはどのようなケースが該当するか、具体的に紹介します。

家族や身内に対する介護や看護が必要

家族や身内の看護、介護は即日退職の理由となり得ます。事故や病気で急に家族の介護が必要となる場合には、その旨を申し出て即日退職を希望するとよいでしょう。

仕事に支障がある体調不良や心身の状態

ご自身の体調不良も即日退職の理由となります。これはケガや病気などの身体的不調のみではなく、メンタルの不調も該当します。

必要に応じて、病院からの診断書を提出し、会社側へ即日退職を申し出るとよいでしょう。

注意!会社との話し合いは避けられない

いかなる理由や状況であったとしても、即日退職を希望する場合には会社と話し合いが必要です。一方的に「即日退職を希望します」と申し出ても認められないことがほとんどでしょう。

ご自身の状況や、事情を詳しく説明し、会社に理解してもらったうえで即日退職が可能となる、と考えるのが適切といえます。

即日退職する場合に注意すること

即日退職する場合には、通常通り2週間前に退職意思を伝える場合よりも注意すべき点が多いといえるでしょう。どのような点に注意して退職を進めていくとよいかをまとめて紹介します。

通常は退職したい日の2週間前に連絡

基本的には退職希望日より2週間前に会社に申し入れ、退職するのが通常の流れです。どのような場合でも即日退職をする場合には、それがイレギュラーであることを認識し、会社側に理解をしてもらうことが重要といえます。

会社側も即日退職であれば、退職書類を郵送でやり取りする、業務時間外に貸与していた備品の返却を受け付けるなど、通常と違う流れで退職手続きを行う場合があります。基本の流れを理解することで、できる限りのトラブルを避けて手続きを進めることが求められるでしょう。

無断欠勤するのは絶対にNG行動

即日退職を希望する場合でも、絶対に無断欠勤はしてはいけません。これはパートやアルバイト、契約社員などどのような雇用形態でも同様です。

無断欠勤をしてしまうと、懲戒解雇の対象となったり、損害賠償の請求をされたりすることもありえます。必ず会社と交渉し、合意の上の即日退職や、退職予定期間の有給消化など、正式な流れで退職することが大変重要です。

消化できる有給がないか確認する

有給休暇を消化することで、退職予定期間の出勤が不要となることはすでに紹介しました。それだけではなく、有給休暇が残ったまま退職をしてしまうと、受け取れる賃金を受け取れないということになってしまいます。

必ずご自身の勤怠状況を確認し、使える有給休暇があれば使い切ってから退職をするとよいでしょう。

退職手続きに必要な書類があれば準備

退職手続きに際して、書類で会社への提出が必要なものもあります。会社によっては所定のフォーマットがある場合や、提出のワークフローが定まっている場合もあるでしょう。

退職関連の担当者に確認し、漏れ欠けのないように準備するようにしましょう。

手続きが不安・言いにくい人にこそ退職代行

ここまでご自身で会社への退職を申し出て、手続きを進める場合について紹介しました。一方で、例えばハラスメントを苦にして退職を希望する場合など、直接退職意思を伝えづらいケースもあるでしょう。

そのような場合には退職代行を検討してみてはいかがでしょうか。

ここからは、退職代行のサービス詳細や、会社との交渉ができる退職代行の紹介をします。
参考にご一読ください。

退職代行について

退職代行は、退職を希望する本人に代わり、会社への退職意思を伝えるところから、退職手続きまでを代行するサービスです。

  • 退職を伝えたものの強い引き留めにを受け退職ができない
  • ハラスメントを受けていたため、自身で退職を伝えづらい
  • 残業代の未払い、有給休暇消化など、会社と交渉したい

などの場合に利用されることが多いといえるでしょう。

労働組合や弁護士など、専門家が会社との間に立ってくれるため、とても安心できるサービスといえます。

法律的な対応もできる退職代行がある

退職時に、「未払いの残業代を支払ってほしい」と交渉が必要な場合があります。このような交渉を本人に代わって行うのは、法律事務に該当し、有資格者でなければ行ってはいけません。

ここでいう有資格者には弁護士が該当します。
退職代行サービスには、弁護士が代行するため、法律的な対応も可能なところがあります。

会社との交渉が法律事務に該当する場合などは、弁護士が在籍しているところを選ぶとよいでしょう。

違法の心配なし!即日退職が可能な退職代行サービス4選

実際に即日退職に対応する退職代行サービスにはどのようなものがあるでしょうか?即日退職の代行で定評があるサービスの中でも4社を、費用やサービス内容などをまとめて紹介します。

弁護士法人川越みずほ法律会計

<特徴>
弁護士が会社との交渉窓口となるため、有給消化、未払い残業代請求などの交渉が可能です。

<費用>
2万7千円(税込)~
※有給休暇消化や、残業代や賃金の請求はオプションとして対応するため、成功報酬が必要となります。

退職代行EXIT

<特徴>
業界最安値の手数料で退職代行を依頼できます。取り扱い実績が多くあるので、スムーズな退職を実現する知見を持っているといえるでしょう。

<費用>
2万円(税込)

退職代行jobs

<特徴>
弁護士監修であり、また労働組合と連携をしている退職代行サービスです。労働組合が会社と交渉できるので、安心して依頼できる退職代行といえます。

<費用>
2万7千円(税込)~
労働組合を利用する場合には、追加で2千円が必要です。
審査はありますが、後払いが可能なので、利用しやすいメリットがあります。

退職代行SARABA

<特徴>
労働組合が運営する退職代行サービスです。24時間問い合わせができ、依頼後の相談は回数無制限にできます。退職できなかった場合には、全額返金してもらえるのも特徴の1つです。

<費用>
2万4千円(税込)

まとめ

  • 正社員は退職予定期間を欠勤扱いとしたり、有給消化とすることで実質即日退職が可能である
  • 基本は退職希望日の2週間前に退職意思を伝える必要があるが、状況により即日退職が認められる場合がある
  • 退職代行を利用することで自分で会社とやり取りをせずに即日退職ができる場合も多い

この記事では、即日退職が可能な条件や手続き、退職代行について解説しました。退職をする際には、まずは上司との話し合いを行い、手続きを進めることが大切です。退職に関する疑問や不安がある場合は、退職代行サービスを利用することも一つの選択肢です。

退職する際には、適切な手続きを行って、円満な退職を目指しましょう。